大学入試改革を考えるさなる個別@will CGP
スーパーグローバル大学創成支援とは
「海外の卓越した大学との連携や大学改革により徹底した国際化を進める、世界レベルの教育研究を行うトップ大学や国際化をけん引するグローバル大学に対し、制度改革と組み合わせ重点支援を行うことを目的」とした制度で、今年度から最大10年間補助金の支援が受けられます。2つのタイプに分かれ、「世界大 学ランキングトップ100を目指す力のある、世界レベルの教育研究を行うトップ大学を対象」とした「タイプA:トップ型」13大学、「これまでの実 績を基に更に先導的試行に挑戦し、我が国の社会のグローバル化を牽引する大学を対象」とした「タイプB:グローバル化牽引型」24大学です。
タイプA(トップ型)
北海道大学 | 東北大学 | 筑波大学 | 東京大学 |
東京医科歯科大学 | 東京工業大学 | 名古屋大学 | 京都大学 |
大阪大学 | 広島大学 | 九州大学 | 慶應義塾大学 |
早稲田大学 |
タイプB(グローバル化牽引型)
千葉大学 | 東京外国語大学 | 東京藝術大学 | 長岡技術科学大学 |
金沢大学 | 豊橋技術科学大学 | 京都工芸繊維大学 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
岡山大学 | 熊本大学 | 国際教養大学 | 会津大学 |
国際基督教大学 | 芝浦工業大学 | 上智大学 | 東洋大学 |
法政大学 | 明治大学 | 立教大学 | 創価大学 |
国際大学 | 立命館大学 | 関西学院大学 | 立命館アジア太平洋大学 |
英語入試改革(英語4技能の評価)
英語教育改革実施計画では、大学入試でも4技能を評価する英検やTOEFLの活用が明示されました。以下に「TOEIC」や「TOEFL」整理しました。
「入試におけるTOEFL・TOEICの活用・促進」が、2012年6月の「大学改革実行プラン」(文部科学省)によって示されました。そして2013年 末に、センター試験の英語得点を英検、TOEIC、TOEFLのスコアで代用する案が検討されていることが各種報道で明らかになりました。具体的には英検 準1級、TOEIC780点以上、TOEFL iBT71点以上のいずれかでセンター試験英語得点を満点とするというものです。また、2014年12月、文部科学省にて「英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会」が発足しました。センター試験は2018年度以降に廃止され、高校在学中に受験する「達成度テスト」に代わる予定ですが、「達成度テスト」導入前に、今回の英語教育改革の意向を反映したいということのようです。
大学改革と大学入試改革
2019年の大学入試センター試験が廃止されます。 大学入試センター試験に代わり「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」が現中1生から導入されます。これは大学での教育内容や教育方法の見直しとあわせた入学者選抜の見直しの中で進行しています。大学入試の変化と、大学自体の変化をあわせて見ていくことが、今回の改革を理解する上では重要です。
※【評価方法の例】
- 大学入学希望者学力評価テストの結果
- 自らの考えに基づき論を立てて記述する形式の評価
- 調査書
- 活動報告書(個人の多様な活動・ボランティア・・等)
- 各種大会や顕彰等の記録資格・検定試験結果
- 推薦書等
- エッセイ、大学入学希望理由書、学修計画書
- 面接、ディベート、集団討論、プレゼンテーション
- その他
21世紀を力強く生きるために必要な学力。それを再整理したのが「学力の3要素」です。①の「知識・技能」②の「思考力・判断力・表現力」は見慣れ た言葉です。適性検査や高校入試問題で測られる学力です。③は初めて見る文かもしれません。そこでこの文を2つに分解してみます。一つは「主体性を持って学ぶ」。これは「学ぶ意欲」と置き換えられます。そしてもう一つは「多様な人々と協働する」。「協働」とは「同じ目的のために、協力して働くこと(大辞林)」です。自分と価値観や考え方が異なったり、生まれ育った文化が異なったりする外国の人々と協力して何かを成し遂げるということです。これはまさに 「コミュニケーション力」。つまり③は「意欲とコミュニケーション力」とこれまでも聞き慣れた言葉に言い換えられます。
大学入試で測られる「学力の3要素」は、このように公立中高一貫校適性検査や神奈川県公立高校入試で求められる力と変わるものではありません。そし て新しい大学入試の姿も、現在の神奈川県公立高校入試に置き換えるとイメージしやすいでしょう。受験生は全員「自己PR書」(評価の対象にはなりません) を事前に提出し面接を受けます。これは「学ぶ意欲」を測るものです。新しい大学入試でも右の【評価方法の例】が示されています。また、高校はその特色を踏 まえ調査書、学力検査、面接の比率を変えたり「特色検査」を実施することができますが、同様に大学入試でも「大学入学希望者学力評価テスト」と個別に実施 する入試によって、それぞれの大学が求める学生を選考するわけです。
推薦・AO入試による入学者の学力が低いという問題を解決する方法として、いったん一般入試・推薦入試・AO入試の枠組みを廃止し、それぞれの大学 が求める生徒像にあわせて上記のような選抜を行おうというのが、入学者選抜変更の方針です。「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」は、各大学が選択でき る選択肢の一つとして導入されるわけです。また、同時に発表された「高等学校基礎学力テスト(仮)」は、高校生がしっかりと日々の学習に取り組むことを促 すとともに、選抜資料への活用も視野に導入されます。
その選考方法や求める学生像を示したものを「アドミッションポリシー」と言います。そして、入学した学生にどんな力を身につけさせるのかを示すのが 「カリキュラムポリシー」、卒業に値する「学士力」を身につけたかどうかを測る基準を示すのが「ディプロマポリシー」です。その3つのポリシー、「3ポリ シー」とは、入学から学修、そして卒業まで一貫した方針を打ち出すことで、大学(学部)の特徴を明確にすることを目的にした、いわば方針書です。改革会議 では、その法令化を求めています。すでに3ポリシーを策定し公表している大学も多くあります。
大学は小・中・高と続く学びのゴールであるのと同時に、社会への入口です。大学での学びを知ると、社会と社会で求められている力を知ることができま す。それは高校選びにも生かされるはずです。中学生時代に大学を知ることは、進路選択や高校受験のモチベーションアップにもつながる重要な機会となるはず です。