神奈川県教育委員会は11月27日(月)、「令和5年度 公立中学校等卒業予定者の進路希望の状況」を公表しました。これは、県内の公立中学校および義務教育学校を2024(令和6)年3月に卒業する予定の者に対して、10月20日を期日として行った進路希望調査の結果となります。
2024(令和6)年3月の卒業予定者総数は前年度よりも965人少ない67,019人です。これに対して県内全日制公立高等学校(以下高校と表記)への進学希望者は前年度より880人少ない51,019人で、卒業予定者数に占める割合は76.1%となりました。この割合は2018年にはじめて80%を下回ってから6年連続で70%台で推移しており、76.1%は現在の期日で進路希望調査が実施されるようになって以降もっとも低い数字です。一方、県内・県外を含む全日制私立高校進学希望者は昨年よりも313人少ない8,372人で、卒業予定者に占める割合は12.5%となりました。この割合は、過去最高だった前年度の12.8%をわずかに下回っています。私立高校進学者に対する授業料等の助成拡充や新しい大学入試制度や大学入学定員の厳格化に対する不安等を背景に、ここ数年間私立高校を第一希望の進学先とする生徒が増加傾向にありましたが、この傾向は一段落したと思われます。
全日制公立高校進学を希望する生徒の割合は減少傾向ではありますが、地区や高校単位の希望状況は県内一律ではありません。今回の進路希望状況調査で、中学校が所在する地区とは異なる地区に所在する高校を希望した生徒の割合は49.4%でおよそ2人に1人が地元外にある高校への進学を検討しています。複数路線の乗り入れがある交通の便の良い地区ほどその傾向は顕著です。進路希望状況調査結果資料の統計表第10表「県内公立高等学校(全日制の課程)普通科進学希望者の市区町村別進学希望状況」をもとに作成したのが以下の図です。中学校が所在する市区町村の生徒数を100とし、それよりも多く生徒が集まっている地区を暖色、反対に生徒が集まっていない地区を寒色で示しています。
地区別の進学希望状況
2023年12月 神奈川県発表資料をもとに中萬学院作成 ※希望校を決めていない者を除く
上記の図に今回の調査で希望者が400人超の高校41校の所在を加えたものが以下の図です。昨年の53校から今年は12校減っていますが、600人超の高校が7校増えるなど人気の偏りが昨年よりも顕著です。進学希望者が800人を超えているのは横浜翠嵐高校(939人)と湘南高校(880人)の2校です。2校とも募集定員は359人です。横浜翠嵐高校は4年連続で進学希望者数がもっとも多くなっています。
全日制公立高校 進学希望者400人超の高校
2023年12月 神奈川県教育委員会発表資料をもとに中萬学院作成 ※希望校を決めていない者を除く
希望者数上位20校の顔ぶれはほぼ例年どおりです。学力向上進学重点校および同エントリー校からは7校が入っています。
2023年10月の進路希望調査で希望者の多い上位20校
※志願者数は志願変更前の数値です。増減数の▲は減少をあらわします。
※希望者数との対比は昨年度入試の志願者数÷2022年の希望者数×100で計算
※★…学力向上進学重点校 ◇…学力向上進学重点校エントリー校
順位 | 高校名 | 希望者数 | 昨年度の入試 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
2023 希望者数 |
2022 希望者数 |
増減数 | 志願者数 | 希望者数 対比 |
||
1 | 横浜翠嵐★ | 939人 | 945人 | ▲6人 | 791人 | 84% |
2 | 湘南★ | 880人 | 921人 | ▲41人 | 674人 | 73% |
3 | 海老名 | 751人 | 729人 | 22人 | 609人 | 84% |
4 | 横浜緑ケ丘★ | 726人 | 674人 | 52人 | 475人 | 70% |
5 | 七里ガ浜 | 723人 | 619人 | 104人 | 486人 | 79% |
6 | 鎌倉◇ | 716人 | 688人 | 28人 | 507人 | 74% |
7 | 多摩★ | 640人 | 635人 | 5人 | 576人 | 91% |
8 | 市立みなと総合 | 630人 | 476人 | 154人 | 284人 | 60% |
9 | 住吉 | 622人 | 691人 | ▲69人 | 581人 | 84% |
10 | 市立金沢 | 607人 | 664人 | ▲57人 | 467人 | 70% |
11 | 新城 | 606人 | 602人 | 4人 | 453人 | 75% |
12 | 岸根 | 596人 | 678人 | ▲82人 | 488人 | 72% |
13 | 市ケ尾 | 585人 | 665人 | ▲80人 | 495人 | 74% |
14 | 藤沢西 | 583人 | 510人 | 73人 | 431人 | 85% |
15 | 希望ケ丘◇ | 573人 | 666人 | ▲93人 | 540人 | 81% |
16 | 元石川 | 554人 | 614人 | ▲60人 | 474人 | 77% |
17 | 市立高津 | 553人 | 494人 | 59人 | 393人 | 80% |
18 | 市立横須賀総合 | 546人 | 465人 | 81人 | 297人 | 64% |
19 | 市立戸塚(一般コース) | 532人 | 632人 | ▲100人 | 394人 | 62% |
20 | 厚木★ | 529人 | 493人 | 36人 | 476人 | 97% |
今回公表された数字は、あくまで10月20日時点の希望状況であり、入学志願状況ではありません。上記20校を見てもわかるように、実際の志願者数は平均すると希望者数の77%程度まで減少します。志望校を決定するにあたり、現時点で自分が行きたい高校の希望者が多いからといって悲観的になったり敬遠したりする必要はなく、また希望者が少ないからといって安心できるというわけでもありません。大切なのは目標とする高校の合格を目指し、学力検査や特色検査の得点アップに全力で取り組むことです。これから入試本番までの約2カ月はもっとも得点力が伸びる時期です。合格に向けて悔いのないよう最後まで力を尽くしましょう。
>令和5年度公立中学校等卒業予定者の進路希望の状況ページを見る